イデオロギーの衰退
抗議行動(プロテスト)を相手方との交渉力に変え、自分たちの「生活」を防衛しようとした住民運動の多発は、「和のイデオロギー」に生き旧秩序に寄りかかっていた人びとから強い反発をよびおこしました。
しかし、地域社会の新しい統合様式の形成を避けがたい課題として提示したのです。
それは、異議申し立てや抵抗の契機を、ときには、地域社会の決定過程における「生理」として認定し、住民参加制度を含む新しい制度形成と関連させて位置づけるという課題です。
・・・これは、対立や紛争を忌み嫌い「病理」と考える地域社会の文化を変容させる新しい力となったといってよいでしょう。
そのような「元気」の発露を促したのは、皮肉にも、旧秩序に依存して強進された地域開発にともなう地域社会の激変でした。
工業化と都市化の著しい進展は、なにょりも地域社会における安定した緊密な人間関係を崩し、それは、根回しの担い手に不可欠な信望の形成を不可能にしたのです。
高等教育の普及による一般的な自他認識能力の向上は、鋭敏な私益意識とあいまって、「同意」調達のための根回し的決定方式の有効性を著しく低下させたとみることができます。